飾り方のポイント
飾り方のポイント
絵の飾り方で重要なのは、見た目のバランスの問題と安全性の問題です。
縦位置合わせ
日本では、高すぎる位置に絵を掛けているケースがよくあります。日本家屋で鴨居に絵を掛けているのを見た記憶を持つ人が多く、その影響と思われます。絵を飾るときは目の高さに合わせるというのが基本です。
立って見ることが多い場所では絵の中心が立ったときの目の位置よりやや下になるくらいの方が落ち着いた雰囲気が出ます。
ソファーなどに座って、ゆったりした姿勢で絵を見るときは視線が少し上向きになります。よって、座ってみることの多い場所では座った状態の目の位置よりやや上に絵の中心を合わせることになります。
要するに、絵を見るときに自然な姿勢で見られるようになるべく目線にあわせるためと、壁面を見たときの視覚的な重心を低めにしたほうが落ち着くということなのです。

横位置合わせ
縦位置合わせでは視覚的な重心の問題でしたが、横位置合わせでは視覚的な中心に注目します。絵の横位置の中心は、壁の物理的な中心ではなく視覚的な中心に合わせるというのが基本です。
壁際に何も置いていない壁の場合は物理的な中心と視覚的な中心は同じですが、何かが壁際にあると視覚的な中心に影響します。背の高い観葉植物を壁際においてある場合の視覚的な中心は、鉢植えと反対側にずれます。
絵を飾る壁の下にソファーなどの家具がある場合は、家具が壁の中心からずれていても、その家具の中心が視覚的な中心になります。

小さな絵を並べて飾る
小さな絵を横に並べて飾る場合は、小さな絵全部をすっぽり包みこむ枠を一つの大きな絵とみたてて、「縦位置合わせ」「横位置合わせ」の基本を当てはめます。
大きさが違う絵を横一列に並べる場合は、絵の中心線か額縁の下辺を合わせ、見た目の間隔を等間隔にするのが基本です。階段脇の壁面では、階段の勾配に合わせて段差をつけて飾ります。

小さな絵をいくつか飾る場合は、基本どおりでない飾り方もありえます。外国映画などでしゃれた飾り方を目にしたら、真似てみるのも結構だと思います。
調度品と一体感を持たせる飾り方
広い壁面にこだわらず、調度品と絵で一体感のあるスペースを作る飾り方もあります。
壁面の広さとバランスをとるのではなく、絵は壁側に置いた小物家具や置物の添え物のように飾って、そこに一つのまとまった空間をつくるのです

壁への取り付け
壁への取り付けには額用の吊り金具(フック)を使います。額縁屋さんやホームセンターで売っていますが、絵を買ったときに店で貰うのが一番です。
壁が板や石膏ボードの場合は、右写真のようなフックが最適です。ピンが斜めに打ち込まれるので石膏ボードの壁に対してもしっかりと支えます。額の重さに応じて1本~3本のタイプから選びます。
コンクリートの壁の場合はコンクリート用のフックを買い求める必要があります。やはり額縁屋さんやホームセンターで売っています。
フックが使えない場合に、ピクチャーレールとワイヤーを使うことがあります。これは画廊のように大きさの違う絵を掛けかえることが多いところでよく使われます。絵の掛け替えは楽になりますが、初めにレールの取り付け工事が必要になります。


地震対策
地震のときにガラスの入った額縁が落ちてきたら大変危険です。
地震対策を考えたなら、まず第一にガラス板ではなくアクリル板がおすすめです。ガラスは割れやすいこと、割れたときに大変危険であることに加え、重さも大きなリスクです。ガラスとアクリル板では重さが大きく違うので、吊り紐と金具への負荷が相当違います。
次に地震でも落ちにくい「バネ付きフック」をお勧めします。
地震のときに額が落下する主な原因は吊り紐がフックから外れることです。このバネ付きフックは、紐を引っ掛けた後はバネが戻って出口を塞ぎ、紐が外れるのを防ぎます。
これでもフックごと壁から落下するような大地震や吊り紐が切れる場合も考えると万全ではありませんが、相当効果的な地震対策であることは間違いありません

地震対策用フックだけで安心していてはいけません。吊り紐の劣化や金具のビスのゆるみを時々チェックする必要があります。
PL法施行以来、額縁には吊り紐に関する注意書きが必ず入ってきます。それだけ、吊り紐については注意が必要だということです。
必ず付属の紐を使うこと、かたく結ぶこと、紐は劣化すること、年に1~2度は紐と金具を点検し、弱い部分があれば速やかに交換することなどが書いてあります。
このチェックを怠ると、地震でなくても落下する危険があります。

コンクリート壁への取り付け
コンクリート用フックを使う場合に、コンクリート釘を使う方式では壁が崩れてひどいことになるケースがあります。大き目の金槌で一気に打ち込むのがコツですが、弱い力でおそるおそる打ち込むと穴の周りがポロポロ崩れてきます。ドリルで壁に穴を開けてプラグを埋め込む方式が良いのですが、ドリルの用意がないお宅が多く、ドリルを使い慣れない方がやはり穴の周りを崩してしまう場合があります。
コンクリート壁の場合は業者に依頼するのが無難です。
壁に掛けない飾り方
絵の飾り方としては、イーゼルを使う方法やチェストなどの上に立てかけて飾る方法があります。壁に穴を開けないことと、取り替えや移動が簡単なことがメリットですが、倒れる危険に十分配慮することが必要です。特にイーゼルを使う方法はぶつかって倒す危険がありますので、狭い部屋には向きません。

